第五十九回:現地施工で見られるビス系ビニルエステルの硬化不良発生 ~ 第53回-第58回 総集編~

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2026年3月4日

 

第五十九回:現地施工で見られるビス系ビニルエステルの硬化不良発生

~ 第53回-第58回 総集編~

 

<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━

 

・FRP製品の真実~現地施工で見られるビス系ビニルエステルの硬化不良発生~第53回-第58回 総集編~

 

前回のメルマガではビスフェノール系(ビス系)ビニルエステルの硬化不良の初歩的要因として、樹脂塗布用の刷毛・ローラー類・作業手袋に残留した水やアセトンが除去されていない場合についてご紹介しました。

 

今回は現地施工時におけるビスフェノール系ビニルエステル樹脂硬化不良の初歩的要因に関し、

前回までの発行済みメルマガ全6回の内容を総集編として振り返りたいと思います。

 

【現地施工におけるビスフェノール系ビニルエステル樹脂硬化不良の初歩的要因】

 

現地施工におけるビスフェノール系ビニルエステル樹脂硬化不良の初歩的要因は、

以下の6点です。

 

‐硬化剤添加量過不足

‐促進剤添加量過不足と手順違い(3液性の場合)

‐硬化剤添加後の撹拌不足

‐強化材(チョップドストランドマット等)が水等を吸収している

‐積層下地やライニング下地の水滴等

‐樹脂塗布用の刷毛・ローラー類・作業手袋に残留した水やアセトンが除去されていない

 

※参照コラム

第五十三回:ビス系ビニルエステルの硬化不良発生

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今回は、上記6つの各要因を取り上げた第53回~第58回のメールマガジンについて、

総集編として現地施工で特に起こりやすい硬化不良の要因を抜粋し、各回の要点をポイントとしてお伝えします。

 

 

1.     促進剤添加量の過不足と手順違い(3液性の場合)【第54回】

 

3液性の場合、促進剤・硬化剤の添加量の過不足に加え、投入順序や手順の違いが硬化不良の要因になることをご紹介しました。

「多めに入れておけば安心」という判断や、現場条件に合わせたつもりの増減が、結果として不具合につながることもあります。

 

<ポイント> 規定の添加量を計量し、規定の手順どおりに混合することが基本です。

 

 

2.     硬化剤添加後の撹拌不足【第55回】

 

局所的な硬化不良やベタつきとして現れやすい典型例として、硬化剤を添加した後の撹拌不足を述べました。

特に、容器の底部や壁面に未混合部分が残ると、見た目は混ざっているようでも硬化状態にムラが出ます。

 

<ポイント> 撹拌時間だけでなく、底・壁面をさらう動作を含めて均一に撹拌することが重要です。

 

 

3.     強化材(チョップドストランドマット等)の吸水【第56回】

 

チョップドストランドマット等の強化材が、保管中や現場放置で水分を吸収していると、積層後に硬化不良を引き起こすという要因をお伝えしました。

見た目が乾いていても、水分が繊維内に浸透していることがある点が盲点です。

 

<ポイント>乾燥した環境で保管し、開封後の放置を避けるなど、吸湿させない管理が必要です。

 

 

4.     積層下地・ライニング下地の水滴等【第57回】

 

下地表面の水滴、結露、洗浄後の乾燥不足など、下地側の水分も硬化不良の要因になります。

特に底部・凹部・段差などは水分が残りやすく、施工直前に見落とされやすい箇所です。

 

<ポイント>施工前に、水分が残りやすい部位を重点的に確認し、乾燥工程を確保してください。

 

 

5.     刷毛・ローラー類・作業手袋に残留した水やアセトン【第58回】

 

刷毛・ローラー・作業手袋などに、水分や洗浄に用いたアセトンが残留すると、マトリックス樹脂に混入して硬化不良を誘発することがあることを述べました。

洗浄後「拭いたから大丈夫」「乾いたつもり」で再使用してしまうケースが現地では起こりがちです。

 

<ポイント>洗浄後は乾燥完了を確認し、手袋等は可能であれば施工用と清掃用を分ける、使い捨て運用を検討する等の対策が有効です。

 

 

6.     第53回(硬化不良発生の位置づけ)【第53回】

 

6回分のメルマガでお伝えした硬化不良の要因は、

「添加量・手順」、「撹拌」、「(材料/下地/道具などの)水分や残留溶剤」

に関するものが主でした。

このようにビス系ビニルエステルの硬化不良は、どれも現地施工において一定頻度で起こり得る不具合です。

 

これらの不具合の一つひとつの解決は難しくありません。

しかし現地施工は時に高温高湿、酸やアルカリなどの化学薬品の残存、短時間作業要求など厳しい環境になることも珍しくなく、

時に当たり前のことを当たり前に行うこと難しくなります。

 

<ポイント>現場施工の厳しい環境では、定常作業でも想定外の問題が発生する可能性があることを常に念頭に置き、リスクを最小化する取り組みを事前に取り決めておく必要があります。

 

【再発防止のための“現場での施工直前チェック”】

 

最後に、施工直前の確認ポイントを簡単にまとめます。

 

〈施工直前チェック項目〉

・促進剤:規定添加量を計量できているか

・3液性:混合順序、投入タイミングが手順どおりか

・撹拌:促進剤・硬化剤添加後に均一に撹拌できているか

・強化材:吸湿していないか(保管状況、現場放置の有無)

・下地/道具:水滴・結露・残留水・残留アセトンがないか

 

「怪しい」と感じた場合は、まず水分や残留溶剤(下地→強化材→道具)、

次に撹拌(底・壁面の混合ムラ)、最後に添加量と手順の順で確認すると、原因の切り分けが早くなります。

 

最後に、これまで記述していない工事前の基本として、

施工条件(温度、湿度、下地状態、材料保管状態等)は樹脂の硬化状態に影響を与えることをお伝えします。受けます。

必ず材料メーカーの指定条件・手順に従って施工してください。

 

上記を施工直前に毎回、そして確実に行っていただくことが、

樹脂の硬化不良のリスク低減にする近道になると思います。

 

今号では過去6回のメルマガの総集編をお送りしました。

硬化不良を防ぐうえで重要なのは、特別な工夫というよりも、

規定どおりに配合する、手順どおりに混合する、均一に撹拌する、水分を持ち込まない、

という基本を、現地でブレなく実行することです。

 

過去6回のメルマガでは現地施工で多く使用されるビス系ビニルエステルにフォーカスしていますが、

これはイソ系・ビス系・オルソ系不飽和ポリエステル樹脂でも同じであることも併せてご理解いただければと思います。

次号では劣化診断について一般的方法と当社独自の診断方法について掘り下げてご紹介します。

FRPを取り扱っている方や今後取り扱いたい方にとっての一助となれば幸いです。